ひかげ読書

本と漫画と時々色々

「人はいつか死ぬさ。死んだ方が幸せなんだ」 鼻/曽根圭介

スーパーカップバニラにチョコのカラースプレーをたくさんかけて食べるという夢を叶えました。あの安っぽい味がいいんだようまいんだよ。

 

読書生活を始めてから、こんなに世の中には作家さんがいるんだなぁと感動。そしてその中でも一番出会えてよかったと思った作家さんがこちら。不条理!ホラー!ブラック!最高かよ。

【あらすじ】

人間はブタ鼻人間とテング鼻人間の二つに分類される。ブタ鼻人間はテング鼻人間に迫害され、奴隷以下の扱いをされる世界。違法な手術を受ける医者とある事件を追う刑事の交互の視点で進むストーリー。ごりごりの不条理ものホラー。(表題作:鼻)

 

【感想】

3編からなる短編集。見事にどれも救いなし!!

表題作の「鼻」は上記のあらすじの通り、異常な世界を描いている。二つの視点のストーリーがどのようにリンクするのかは最後まで分からず、真実に気づくとぞぞっとする。刑事が頭いかれすぎててよくこれで日常生活送れるな。

 

2話目の「受難」は気づいたらビルの合間に手錠でつながれていた男の話。とことん不条理で頭がやばいやつばかりが出てくる。最後までどうしようもなかった。


しかし、1番好きなのは「暴落」
人間の価値が株価のように上下し、暴落すれば人権が剥奪されるディストピアもの。1番好き。よく感想サイトでも書かれているが世にも奇妙な物語にあってもいいぐらい。
話題に上がるだけあって完成度はとても高い。オチが全部同じとあるがそれがテーマと思えばこれが癖になる。よくここまでどうしようも無い人ばかり書けるなぁ。

 

この作品を読んで、学びとか気づきとかは一切ございません。これから学べるとしたら「人生は意外とくそ」ってところです。「暴落」の世界に自分が生きていたらどうなるか...大学の時点で暴落するなこれは。巻き返して現在ならほどほどの所にいると思います!


曽根圭介は短編集「腸詰小僧」を読んで一瞬にして好きな作家上位5位にランクインしました。「熱帯夜」も同じく最高。世界観が狂ってる、普通ではないミステリーなどなどが好きな方はぜひぜひぜひぜひ。

腸詰小僧の文庫版はよ。