ひかげ読書

本と漫画と時々色々

「お前、俺がいて良かったね」 男ともだち/千早茜

親知らずを抜く日が刻々と近づいていることに恐怖しています。

こんばんは。

 

ミステリー・ホラー作家以外ではちゃめちゃに愛してやまない女性作家が3人います。1人は桜木紫乃氏、1人は村田沙耶香氏、そしてもう1人は千早茜氏です。

男女のどうしようもないあれこれが大好きなんだよー。中でも千早氏はここ1年で知った歴が浅い作家さんですが、最初からどはまりしました。中でも今回紹介するこの作品は感情移入の度合いが違いすぎた。

【あらすじ】

イラストレーターの神名は、関係が冷めた恋人と愛人の2人と関係を持っていた。仕事に悩んでいたとき、大学時代の男ともだちハセオと再会したことで神名の生活と心に変化が現れる。

 

【感想】

昔からよく挙げられるテーマ「異性との友情は成り立つのか」というポイントに焦点を当てた作品。所々うわぁ…ともぞもぞして読むのが少ししんどかった。が、とても好き。こんなことを言うと「何言ってんだお前」と言われることを承知で書くと友達以上恋人未満のドンピシャにいた男ともだちが過去にいたからです。石投げないで。

作品の話に戻ると、とにかくハセオがかっこよすぎる。きっとハセオにも神名に対して愛情があるんだけど、もう次元が恋愛とかそういうところにないんだろうな。若干依存の気はあるけどお互いがなくしたくないんだよなぁ〜そうなんだよなぁ〜。

神名の生き方はずるいが、それでも自分の思い描く人生のためにあがいてあがいてつかみ取っていく姿はかっこいい。

 

良いところだけ取りたいわけではなく、愛情を超えた何かというのは確実に存在するわけで、それは恋人からするとどうあっても不快な気持ちにさせるものではあるんだよね。全部を分かってくれるなら恋人でもいいじゃないかというのも正論ですが、気軽に話して気軽にほしい言葉をくれる心地よい相手なんだよ。そこに恋愛のような生々しさを持ち込まないという暗黙のルールも分かった上での話。

とは言っても現実の2人はハセオになりきれずに離れることとなりましたが...。

何言ってるか分からなくなったな!自分語り乙。


リアリティがないとの感想をよく見たが、そこはフィクションだからこういう関係性もあっていいよねと提示してくれたと思えば。一生手に入れることがない存在なので神名がうらやましいです。
男女の友情はやっぱりないと思うが、あってほしいと願ってる人間。ずるいけどやっぱり特別ではあるよ。

曖昧なひとたちが刺さる。