「ココアさん」 木曜日にはココアを/青山美智子
ココアが好きなんです(唐突
コーヒーも紅茶も飲めない人間なのでカフェに行っても選択肢は元々ないんですけどココアばっか飲んでます。双璧をなすのがカルピス。
で、ココアがテーマの小説って無いかなーと探して見つけたのがこちら。まだ青山氏を全く知らなかったが、ほっこり系の小説を書く方としてはとても有名だったとは。これ以降も3作ぐらい読みました。
【あらすじ】
一人でカフェを切り盛りする僕は、毎週木曜午後3時にいつもの席でココアを頼む女性に恋をしていた。名前を知らない彼女のことを僕は密かに「ココアさん」と呼んでいる。
【感想】
あまずっぺぇ~~~~。紆余曲折色んな人の物語があるんだけど、最後で全部持って行かれてしまう。ココアさんはそうやってつながるんだね。最高だね。
12のお話から成る連作短篇集。先の話にちょこっと登場した人物が次の話で主人公となりそうやってどんどん繋がっていく。こういう形式大好き。
東京のカフェからオーストラリアのシドニーへと繋がり、一人の命を救う物語。綺麗すぎてグロやらホラーばっか読んでる自分が浄化されそうである。
昔は上でテンションが上がったように、最初と最後のつながりに感心したぐらいの感覚しかなかったけど、改めて読み返すと一番好きな話は「半世紀ロマンス」になってた。理由は簡単。自分が結婚したからである。
金婚式を迎えた夫婦が娘からプレゼントされたシドニー旅行を満喫している。妻目線で夫への手紙のような書き方で半世紀を振り返り、夫への思いを吐露している。
50年て途方もなく長く感じるし、今からなら80歳って考えるとそもそも元気でいられるのだろうか。色々考えることはあるけど、2人の50年後にちょっと思いを馳せたりなんかして。
それぞれの一番良い場所で、好きな人と好きなことして過ごすというのは誰もが望むけど一番難しいことかと思う。しかし、自分と相手を思いやって生きていれれば案外難しいことじゃないのかもね。
美味しいココアと美味しいチョコケーキを食べながら友人とおしゃべりしたい。
おのれコロナ。